
#キニナッタ【倉敷市】地域おこし協力隊・岩佐りつ子さんインタビュー
2023年12月、岡山県倉敷市に地域おこし協力隊として着任した、岩佐りつ子さん。
現在は、地域WEBメディア「倉敷とことこ」にて、ライターを中心とした活動をされています。
神奈川県出身、都内のデザイン会社で営業企画部の仕事を経てから、倉敷へ移住して約1年。
過去、離島でのキャンプスクール経験を通して自分に何ができるのかを問いはじめた、地域おこし協力隊を目指すまでのエピソードとは。
そして現在の活動について、岩佐りつ子さんに想いをお聞きしました。
目次
多才な経歴を活かす。地域おこし協力隊へ
今の仕事は倉敷の地域おこし協力隊として、昨年の12月から倉敷へ移住し「倉敷とことこ」のライターを通して地域活動を行っています。
前職は、都内のデザイン制作会社の営業企画部のディレクター兼営業の仕事をしていました。
東京で働きながら、離島や北海道の地域での仕事も受け持っていたので、前職からいつか地方移住したいと思っていたんです。

写真提供:岩佐りつ子
私は現在(2024年)26歳ですが、営業的な場面では、年齢よりも落ち着いて見えると言われることが多く、二面性があるのかもしれません。
家族いわく、面の皮が厚いとも言われます(笑)
実際は、割と活発で明るい部分もあって、新しい友達を作ることに抵抗がないタイプです。

写真提供:岩佐りつ子
どちらかと言うと、運動系ですね。中学生のときはバトミントン部、高校生の時は書道部の立ち上げに携わりました。
日本大学芸術学部の放送学科にて、CM専攻を選んで、4年間学んでいます。絵コンテを書き、CMを映像化したり、撮影などもしていました。
放送系の学科で学んでたことや、大学在学中にラジオ番組を作ってたりしたこともあって、「倉敷とことこ」代表の戸井に代わって務めることになりました。

写真提供:岩佐りつ子
台本を持って行かずに、自然体でお話できたらいいなと思っていて。
今後は、もっとラフに、もっとより楽しくラジオでお話できたらと思っています。
地域に対する想い。好きな島を守ることに携わりたい
私が小学4年生のころまで話がさかのぼるのですが…。
私の母が野外教育に力を入れている大学の職員をしてたんですね。
その大学では、沖縄の離島へ小学生を連れて行くキャンプスクールを行っていました。

写真提供:岩佐りつ子
母親に「きっとあなたに向いているプログラムだと思うよ」と言われて、参加してみたんです。
母の言う通り、見事にキャンプスクールの魅力にハマりました(笑)
小4から小6までは年2回通い、中学生になってからは、スタッフとして毎年通うように。
当初は無人島でのキャンプ体験でしたが、座間味村(ざまみそん)の慶留間島(げるまじま)という有人島で1週間ほど生活をする、島の人たちの生活を体験しようというプログラムに変わっていったんです。
中高大学生と年2回通うと、島の人の流れや移り変わりが鮮明に見えきました。
人口減少の現状などを知って、もし好きな島がなくなってしまったらどうしよう。
沖縄の独特のお祭りや神様を信仰する文化が途絶えてしまうのではないか、と。
そして、自分にも何かできることはないだろうかと地域活性化の仕事に次第と興味を持つようになったと思います。
私のなかでは、島の好きなところは大きく2つの柱があります。

写真提供:岩佐りつ子
ひとつめは、自然の美しさと楽しさ。壮大な美しい自然を見ていると、心をうたれますよね。また、台風などの自然災害には人間は勝てないんだなということにも実際直面したこともありました。
そういう環境のなかで、自然と共存する島の人たちとの出会いが大きかったですね。
ふたつめは、地元の人たちの地域愛に触れられたことです。
たまたまなのですが、島の30代から40代の青年部の若い世代の人たちが集まって話している“ゆんたく”(飲みながらおしゃべりする場)に自分も居合わせたときがありました。
すごく真剣な表情で、この島が今後どうなっていくか、これからどうしていったらよいか本気で話し合っていたんです。
そこで思ったのですが、もちろん地元の人のチカラも大事ですが、外部の視点がないと解決策が見つからない場合もあるのではないか、と。
熱い気持ちをもつ島の人たちが多く、ただの部外者だった私がそういう話を聞けたこと。
それが地域活性化の仕事に興味を持つようになって、地域おこし協力隊をめざすキッカケにもなったと思います。
大学を卒業してすぐ島に移住することも考えたのですが、当時の自分ではスキルもなかったので、島に還元できることがない。できることを増やしていきたいと考えるようになったんです。
そういう経緯もあって、地方自治体の案件も行っている都内のデザイン会社に勤めるようになりました。
毎年夏休みに母と旅行をしているのですが、去年(2023年)の8月に初めて岡山へ旅行に行くことになったんです。

写真提供:岩佐りつ子
JR倉敷駅の南側は観光に特化した、倉敷美観地区がある。北側は、生活に特化した、アウトレットやショッピングモールなどの施設がある。そんな二面性にすごく惹かれました。
また、自然もあればアートもある街だし、倉敷で暮らしたら飽きることがなさそうと思ったんです。
倉敷駅近くに住めば、車がなくても生活がしやすそうという印象が強く残りました。
その直後に、倉敷で地域おこし協力隊を募集しているというのを見かけたんです。きっと何かのご縁だと思いました。
住みやすいことも感じていたし、ライター体験もしたことがあったので、文字を書くことを仕事にしてみたいと。

写真提供:岩佐りつ子
取材ライターだといろんな人に関われるのもいいなと思い、旅行から帰った数日後に応募しました。まさにとんとん拍子に決まっていったんです。
旅行から約3か月後には、倉敷に住むことになりました。まさかの急展開でしたね。
伝えたい気持ち。ライター活動について
ひとつめは、倉敷市出身のプロサッカー選手の森下仁道さんを紹介した記事です。日本人で初めてプロサッカー選手の契約をされたかた。
まだ慣れていなかったため、人物紹介が得意なライター、後藤寛人さんに取材から執筆まで伴走していただきました。
取材対象のかたの思いを汲み取って、意図とは違わないように、いかに伝えられるか。執筆するのにどうしたらいいか、すごく悩んでしまって…。
そのとき後藤さんに「人物紹介の記事は、時系列ではなく、その人がどう思ったのか、ターニングポイントを絞って書いてもいいと思うよ」というアドバイスをいただいたんです。

写真提供:岩佐りつ子
自分にはなかった書き方を知れたので、今後はそういった目線でも書いてみたいと思いました。
また、最後まで書きあげられたという意味でも印象に残った記事ですね。
もうひとつが、真備で竹炭を作って、能登半島の被災地へ送る支援活動をされている「特定非営利活動法人こもれびの里」さんを取材した記事です。
真備町の西日本豪雨で被災したときに使った竹炭を、また別の被災地で使ってもらう。

写真提供:岩佐りつ子
そういう助け合いのバトンがつながっていることに感動しました。
たくさんの人にこの活動を知ってもらいたい、能登の復興が少しでも進んでほしいと気持ちがこもって、筆が進んだ記事です。
倉敷に良い印象を持ってもらえたら嬉しい
個人のInstagramでの発信の他にも、倉敷のおためし住宅を利用された方への移住相談会で、地域に住む方と移住者の私の二人のスタッフで対応させていただいています。
おためし体験をされたかたにとって、倉敷の顔となっていることを忘れず、倉敷に良い印象をもって安心していただけるよう、心がけてお話しています。

写真提供:岩佐りつ子
その相談会のなかで言われて嬉しかったことが「倉敷っていい人しかいないんですね」という言葉です。
もちろん私だけでなく、他の移住促進課の方や対応されたかたの印象が良かったからだと思いますが、そう言っていただけてすごく嬉しく思いました。
チャレンジ。人生に必要な出会い

写真提供:岩佐りつ子
自分はこの仕事をやってみたいと思って倉敷へ移住してきたので、倉敷で働きたいと思う人を増やせるような、求人サイトを作りたいと考えています。
「日本仕事百貨」さんという転職サイトが好きで、よく読んでいるんです。
このサイトを参考にした、倉敷版の転職サイトを地域おこしの着任期間中に作ろうと思っています。仕事として収益化するのは難しいかもしれませんが、チャレンジしたいです。
あとは、同年代の方との交流会を開催したり、倉敷の全地域のお祭りに参加してみたりなど、色々とやりたいことが溢れてきています。

写真提供:岩佐りつ子
交流関係がすごく広がったことですね。
神奈川に住んでいたままだと出会わなかった人と、たくさん出会えたことです。人生に必要な出会いがこの倉敷にあったんだと。

写真提供:岩佐りつ子
いい出会いが多く、人に恵まれたなと思っています。
倉敷ってすごく住みやすい町ということを、もっとたくさんの方に知ってもらいたい。そのために自分自身も更に情報発信に力を入れていきたいです。
私が所属している「倉敷とことこ」や、倉敷に関係するメディアを読んでもらって、より関係人口が増えていったら。
倉敷で得た経験を生かして、いつかお世話になった離島や他の地域にも関われたら嬉しいです。
インタビューを終えて
「地域活性化の最終的なゴールは、たくさんの人が住むこと。そのためには、離島留学などの地域へ還元する仕組みが大切だと思っています」という岩佐さん。
学生時代からの島での生活体験を経て、真剣に地域のためにできることを考え、積み重ねられていることが伝わってきました。

写真提供:岩佐りつ子
「倉敷とことこ」では、誰に対しても理解しやすい、多角的な目線で文章を書かれています。
誠実な岩佐さんの文章やお話を通して、県内外問わず、倉敷の魅力が多くの方に伝わればと願います。
(文/まつこ 編集・写真/悠貴 インタビュー場所/マルゴデリオウジガダケ)
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