映画『風の奏の君へ』岡山【美作】ロケ地めぐり
岡山県の北東部に位置し、緑豊かな山々と、清らかな川が流れる美作(みまさか)。
鳥取県と兵庫県に接し、四方山に囲まれた盆地にある地域です。
岡山県を代表する温泉地のひとつ「湯郷温泉」も、美肌の湯として有名です。
その美作エリアを中心とした、全編岡山ロケの映画「風の奏(かなで)の君ヘ」が2024年6月7日から全国公開されました。
美作で学生時代を過ごした大谷健太郎監督と美作市出身である小説家あさのあつこ先生がタッグを組んで製作された、故郷愛あふれる映画です。
茶葉の新芽の緑が最も鮮やかな春の季節、2022年4月から5月の13日間かけてロケが行われました。
公開されて間もない6月上旬、美作市のロケ地をめぐった様子を紹介します!
目次
映画「風の奏の君へ」について
岡山県美作地域を舞台とした、あさのあつこ原作「透き通った風が吹いて」を原案とした映画「風の奏の君へ」。
同じく美作で青春時代を過ごした、大谷健太郎監督が映画化されました。
岡山の自然豊かで情緒あふれる風景の中で繰り広げられる、静かなラブストーリーです。
ヒロインの里香(さとか)役を演じたのは、女優の松下奈緒さん。
ピアニストおよび歌手としてもキャリアのある松下さんは、劇中曲の作曲も手がけており、演奏シーンでは吹き替えなしでピアノ演奏を披露されています。
flumpool書き下ろしの主題歌「いきづく feat. Nao Matsushita」は、松下奈緒さんとのコラボレーション。
こちらも映画の美しい情景と合わせて、聴いてほしい爽やかな一曲となっています。
お茶処でもある美作で暮らす、浪人生の渓哉(杉野遥亮)、茶葉屋「まなか屋」を継いだ兄の淳也(flumpool/山村隆太)、東京からコンサートツアーのため訪れたピアニストの里香(松下奈緒)。
緑豊かな山々のふもと、古き良き趣を残す町並みを舞台に、それぞれの葛藤や想いが交差するストーリーです。
▼映画「風の奏の君へ」公式サイト
https://kazenokanade-movie.jp/
出会い。印象的な映画の冒頭シーン
白いワンピース姿に白い帽子をかぶった松下奈緒さん演じる里香が佇むシーンで登場した、「泰平橋(たいへいはし)」。
大谷監督の母校でもある、岡山県立林野高等学校への通学路にかかるこの橋。監督の強い希望でロケ地に決まりました。
吉野川にかかる泰平橋は、昭和5年竣工のものです。
地元産の凝灰岩、笠岡産の花崗岩を切石にして積み上げた橋台・橋脚は、大正9(1920)年に架けられた、旧橋のものを再利用しているそうです。
橋近くの、創業140年の伝統を誇る「リバーサイド湯郷(ゆのごう)」。
かつて高瀬舟の船着き場であった吉野川のほとりで、伝統を守り続ける木造3階建ての旅館です。
映画では、茶の産地や種類を見極める利き茶「茶香服(ちゃかぶき)大会」の会場として使用されました。
物語の重要なポイントとなった場所で、実際に「茶香服大会」が6月15日に開催。
美作青年会議所が、映画と岡山県内を代表する茶どころの海田地区の魅力をアピールしようと企画されました。
橋からは、ノスタルジーな雰囲気が漂う町並みや吉野川を望めます。
ぜひ立ち寄ってほしいスポットのひとつです。
映画でのキービジュアル「天空の茶畑」
劇中で里香が訪れ「一生忘れない」と言葉を残した、海田(かいた)地区の茶畑。
標高約300メートル、中国山地が望めるこの場所は、絶景のロケーションです。
晴天に恵まれ、茶畑の緑と青空の青が映えて、息をのむような美しさを感じます。
“燃えるような茶畑の緑”
心ゆさぶられたシーンと同じ光景が広がっていました。
江戸時代からお茶の生産地で、現在でもお茶の栽培が続けられています。
「海田園黒坂製茶」が引き継ぎ管理する、伝統ある茶畑。
海田茶は、昼夜の寒暖差が大きいことで良質なお茶が育つ条件がそろっているとのこと。
「道の駅彩菜茶屋」など、市内観光施設の郷土土産コーナーで購入できるので、合わせて立ち寄ってみてください。
天空の茶畑へのアクセスの際、かなりの細道のため運転時は注意が必要です。
今回は作東ICから作東産業団地を経由するルートで進行。途中、近隣にある「天空のひまわり畑」への看板が所々に設置されているので参考にしました。
茶葉屋「まなか屋」が登場。歴史ある宿場町へ
天空の茶畑から車で約30分北へ進み、「旧因幡街道大原宿」へ向かいました。
2024年6月現在は休業中の「あんこや ぺ」さん。小豆と粗糖のみで炊き上げたやさしい甘さが特徴のあんこ専門店兼喫茶店です。
こちらでは、淳也が営む「まなか屋」の店舗として使用されました。
そしてすぐ近くにある「難波邸」は、宿やコワーキングスペースとして使われています。劇中では真中家に間借りした里香の部屋として使用。
鳥取から姫路までを結んだ「因幡(いなば)街道」。
その宿場町として「本陣」「脇本陣」の遺構が現存しているのが「旧因幡街道大原宿」です。
江戸時代後期から明治・大正期の町屋を中心に町並みを構成して、今なお宿場の景観を守っており、昭和61年に岡山県から「町並み保存地区」に指定されています。
「おかやま歴史の旅百選」「新日本歩く道紀行100選」にも認定されており、古き良き町並みが残る景色はゆったりと歩くのにオススメです。
街道からの橋上では、劇中後半に出てくる重要なシーンが撮影されました。
こちらも必見のスポットですね。
アットホームな洋食店「キッチンあおいろ」
ロケ地めぐりの途中にランチで立ち寄った、美作IC近くに立地する「キッチンあおいろ」さんも合わせてご紹介。
2023年4月にオープンされた、心あたたまるおもてなしで迎えてくれるお店です。
ランチは、肉や魚にカレーなど。7種類の豊富なメニューが並びます。
甘めのソースがかかった豚・なす巻ローストは、口に入れるとチーズと肉の甘みが広がり、白いごはんがすすむ一品です。
デザートのミニプレートも付いて1,300円と、リーズナブルなランチ。(2024年6月現在)
映画のお茶監修をつとめた「小林芳香園」さんのお茶も一緒にいただきました。あっさりスッキリとした味わいが食後にピッタリでした。
映画「風の奏の君へ」ロケ地めぐりをおえて
映画を観て出会った、美しい景色を中心にまわったロケ地めぐり。
映画全編を通して、美作地区のおだやかでやさしい景色が映されており、故郷愛あふれる作品だと感じました。
映画「風の奏の君へ」ロケ地マップは、美作市役所や湯郷温泉観光案内所、武蔵の里大原観光案内所などで配布されています。(※なくなり次第配布終了)
映画のスクリーンいっぱいに詰め込まれた、風光明媚な魅力があふれる美作。
実際に訪れることで、物語の追体験を楽しめるのではないでしょうか。
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