水仙が咲き誇る、笠岡諸島・六島(むしま)〜100周年を迎える白い灯台とともに
笠岡港から旅客船で約1時間のところに位置する、岡山県最南端の島・六島(むしま)。
1922年(大正11年)、岡山で最初に設置された灯台・六島灯台は、2022年に点灯から100周年を迎えます。
六島灯台を中心に咲く、約10万本の白い可憐な花・水仙(スイセン)が1月下旬から2月上旬にかけて見ごろに。
時間を忘れて心地よく過ごせる島。しなやかに咲く白の水仙と白亜の灯台の美しい今のようすを紹介します。
目次
六島ってどんな島?
瀬戸内海の中心に浮かぶ笠岡諸島は、大小31の島々から成り立っています。
有人島は、「高島」「白石島」「北木島」「真鍋島」「大飛島」「小飛島」「六島」の7島。
各島へは、住吉港から運行している旅客船や高速船で行くことが可能です。
約60人の住人が暮らす六島は、住吉港から約22㎞南に位置する、笠岡諸島最南端の周囲4.6Kmの島。
横溝正史の小説「獄門島」の舞台としてもその名を広く知られています。
島のシンボルとなる六島灯台は、岡山県最古の灯台です。
毎年1月から2月のシーズンになると、地元のひとたちが大切に守り育てた水仙を見るために、たくさんの観光客が訪れます。
六島へのアクセス
笠岡駅から南へ徒歩約10分のところにある住吉港。笠岡諸島交流センター「みなとこばなし」1階に、券売所及び待合所があります。
観光客用駐車場が無料で利用可能。周辺には、有料駐車場も。
六島へは、住吉港から1日4便出航されています。
料金は、片道おとな1,280円。(小学生以下の子どもは半額)
▼下り
笠岡(住吉港) | 六島(湛江港) | 六島(前浦港) |
7:05→ | 7:50 | ←7:45 |
8:50→ | 9:45 | 9:50 |
13:20→ | 14:15 | 14:20 |
16:40→ | 17:35 | 17:40 |
▼上り
六島(湛江港) | 六島(前浦港) | 笠岡(住吉港) |
7:50 | ←7:45 | 8:45 |
10:20 | ←10:15 | 11:15 |
14:15 | 14:20→ | 15:15 |
17:35 | 17:40→ | 18:20 |
※便によっては、大飛島、小飛島を途中経由します。詳しくは三洋汽船株式会社ホームページへ。
水仙シーズン中の土日は、8時50分住吉港発の便が混み合うのでご注意ください。
船旅は約1時間。六島に到着手前の約20分間は船が揺れやすい海域のため、船酔いしやすいかたは酔い止めを常備していると安心です。
自動販売機はないので、飲み物や食べ物は持参してゴミは持ち帰りくださいね。
愛らしい猫のブイと高台にある六島小学校
筆者が訪れたのは、2022年1月22日。住吉港を8時50分の便で出航し、9時50分に前浦港へ入港しました。
看板には、湛江(たたえ)港の展望台、島なみアートなど、オススメスポットが記されています。
前浦港を降りてすぐのところにある、笠岡市六島診療所。
待合所のなかにはパンフレットやトイレも。
むしまっぷを片手に、いざ出発!
まずは、六島唯一の学校である六島小学校へ向かいました。
坂道を登っていく途中振り返ると、キラキラ光る海と港。さっきまで乗っていた船が小さく見えます。
高台にある六島小学校の周りにも水仙が咲き乱れ、甘い香りに癒されます。
2021年度は1名の児童が通う、六島小学校。
グラウンドからは海が眺められ、見応えのあるロケーションです。
自由でのびのびとした学校生活が送れるのではないでしょうか。
島の交流の場「六島浜醸造所」
ビール醸造所と飲食スペースを併設した「六島浜醸造所」は、2019年4月にオープンしました。
六島では住所とは別に各家々の「通称」というのがあり、 この醸造所となった平屋は「はまじょ」と呼ばれていたそう。
地域の人たちから親しみを込めて呼んでもらえるよう、 略して”はまじょ”となる「六島浜醸造所」と名付けられました。
販売中の生ビールを外で一杯いただくことに。
【追記:2023年1月末〜2月末の土日祝日に営業、公式Instagramを要チェック!】
定番の3種類のビールの中から、燻製香の薫るラオホスタイルの麦酒「六島ドラム缶会議(メルツェンラオホ)」を購入。
六島では、冬の夕方に浜辺でドラム缶の火を囲み、持ち寄った酒や魚をつまみに語り合うのが定番の光景。そんな素敵な社交場「ドラム缶会議」を表現したいと思いから、誕生したのがこのビール。
副原料は、六島の名物でもある天然ひじき。
フルーティーな味わいのなかにひじきの旨みが凝縮し、クセになるのど越しです。
瓶ビールはもちろん、オリジナル栓抜きキーホルダーやオリジナルグラスも販売中です。
六島浜醸造所の近くには、乾燥中のひじきも。
六島のひじきは、コリコリ食感がたまらない一品です。お土産に購入されているかたも大勢見られました。
おやおや。海を眺めながらビールを飲んでいると、様子をうかがいに猫たちも近寄ってきましたよ。
六島浜醸造所
住所:岡山県笠岡市六島6153
電話: 090-8377-2897
公式ホームページ:六島浜醸造所
インスタグラム:六島浜醸造所
【2023年1月末〜2月末の土日祝日に営業中】
※不在のときもあるので、来店する際は事前にお問い合わせください。
楽園のような景色が広がる、六島灯台へ
のんびり休憩したあとは、目的地である灯台を目指します。
「六島浜醸造所から、徒歩約15分で灯台へ行けますよ」とブルワーの井関さんに教えていただきました。
ブイで作られたかわいらしい猫の目じるしが、いろんな場所で出迎えてくれます。優しいおもてなしに心温まります。
階段を登り、しばらく坂を登ると…。
寒さに負けず、凛とたたずむ水仙が斜面いっぱいに広がっています!
一面の水仙と海を眺めながら、ベンチでお弁当を食べる観光客のかたも見られました。
六島の子どもたちの「あそび場」には、ブランコやターザンロープも。
乗るのにちょっとコツがいるのも手作りならでは。ハイジになった気分を味わえます。
イノシシに地面を掘り起こされている箇所もあり、電気柵の設置で水仙を守ろうという地元のかたたちの苦労が垣間見えました。
▼トトロのトンネルのような小路を抜けていくと。
おっ!見えてきましたよ。
青空と白の灯台が写真映えするスポット
この日は雲ひとつない、快晴!
どこまでも澄み切った青空が広がり、白の灯台と水仙がより一層映えます。
急な斜面のため、撮影に夢中になると何度か転げ落ちそうになりました。注意が必要です。
瀬戸内海が広がり、絶え間なく行き交う船や四国や島々の美しい風景が眺められます。
撮影をしながらゆっくり時間をかけて登ったため、時計の針を見るともうお昼の12時前。
灯台のふもとで、レジャーシートを広げてお昼休憩をされるかたもたくさんいました。
美しい景色に見惚れながら昼食をとっていると、島の猫がターゲットを狙ってやってきましたよ。
おにぎりをくわえて逃げている猫もいたので、周囲に気をつけてくださいね。
▼灯台の高さは13メートル。(※灯台内は一般公開なし)
島のシンボルとなる灯台を描いた六島の子どもたちのイラストが灯台の門の掲示板に掲示されていました。
この光景そのものを島の誇りとし、大切に育て慈しむ心が垣間見えて、思わずほっこり。ぜひ、現地に訪れてご覧ください。
湛江港からすぐ近く。島小屋と大鳥神社
湛江港から徒歩約3分の場所にある、六島で唯一宿泊できる「ゲストハウス 島小屋」は、空き家を改装した宿泊施設。
カフェや休憩所として開放されている「寄合処」が併設されているので、宿泊をしない方でも気軽に立ち寄ることができます。
営業されてる時は、うどんやコーヒー、ぜんざい、紅茶などを提供されています。(2023年1月時)
わかめとネギたっぷりのほっこりするうどん。
島で作られた、無農薬のレモン付きで紅茶でほっとひといき。心も体も温まります。
島小屋がある細い道を通り抜けると、大鳥神社の鳥居と海が見えました。
砂浜でシーグラスを探すのも楽しそう。
六島へ降り立ってから約4時間が経過していました。名残惜しいですが、そろそろ港へ向かいましょう。
「おかえり」でむかえてくれる、六島
六島へ到着して一番最初に目にしたのは、「おかえり」の看板。初めて訪れたのですが、なつかしい気持ちを味わえました。
「どこから来たん?」「行ったり来たり、忙しそうやな」「こっちにも面白いものがあるよ」など、島のかたたちは気さくに声をかけてくれます。
六島灯台の近くに大きな桜の木が見えたので、桜が咲くころにまた再訪したいです。
いつ来ても、だれが来ても同じようにあたたかく出迎えてくれる六島へ。
大切に育てられ守られてきた景色を眺めて、心あたたまるひとときをお過ごしください。
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