燻製事業「とののベーコン。」代表・篠原英治さんインタビュー
食品添加物や保存料を一切使わずに岡山食材を燻製する「とののベーコン。」
イベント出店時に提供される「ベーコンエッグごはん」は、とののベーコンの人気メニューです。
天然塩とオーガニックのハーブとスパイスを使った燻製事業は、2020年4月からスタートしました。
2021年3月には、岡山市奉還町に拠点となる燻製工場が完成。
常に新しいことに挑み続ける「とののベーコン。」の代表・篠原英治さんにお話を聞きました。
目次
ノリではじめた燻製事業
ー「とののベーコン。」の事業をはじめたのはどういったキッカケからですか?
料理にすごく興味があり知人の居酒屋を手伝う形で勉強を始めて、料理を好きになったのが始まりですね。
事業を始める前は公務員として丸12年働いていました。
ストレス発散するために料理をしたいと思って、時間がかかる料理を検索したところ「燻製」がでてきて。
それから、趣味で燻製を作って仲間たちにふるまっていました。「これ、おいしいよね?」って。
この燻製事業を始める前にも、友人と起業していたのですが、僕がポンコツで役に立たなくて(笑)。振り出しに戻りました。
そのとき、自分に残っていたのは趣味である「燻製」だけでした。
小学校の同級生とたまたま再会して、ノリで始めたのがこの燻製事業なんです。
地産地消にこだわった燻製肉
ー燻製屋「とののベーコン。」の商品の魅力やコンセプトについて教えて下さい。
天然塩とオーガニックスパイスのみを使って燻製するのがこの事業の独自性ですね。
肉の加工に使われる保存料に発がん性のあるものが含まれていることを知って、そういう添加物などを使わないで作っています。
オーガニックを好むかたや体に気を使っている人の心をつかむのではないかと。
岡山産の食材を使った地産地消のもの。添加物が入ってないハンドメイドの燻製というのが、コンセプトです。
実は、最初は食材に関してはそこまでこだわってはなかったんです。
道の駅へ製品を卸にいったとき「ここの地域のものを使ってください」と言われて。
岡山県産のピーチポークの燻製を持っていったら、卸先のかたにとても喜ばれました。
僕は岡山生まれ、岡山育ちですが、岡山の生産者のかたは地元愛が強いことをそのとき初めて知りました。
高単価なブランドのある食材は、生産者の顔が見えて、発信活動もきちんとされている。
そのブランドの看板を使って作るのだから、ちゃんといいものを作って届けなければと思っています。
岡山の生産者の食材に対するプライドを知って、地産地消にこだわったほうがいいと気づいて。食材にもこだわるようになっていったんです。
旅するように、人生を楽しみたい
ーキッチンカーで立ち飲み屋など、さまざまなことを企画する篠原さん。どういう想いで取り組まれていますか?
一緒に事業をやっている同級生も同じ考えなのですが、「自分たちが行ってみたいと思える場所」を作っていきたいんです。
何がしたいかというと、みんなとおもしろいことを共有したい。
よく聞かれるんですよね、何を目指してどこへ向かっているのかって。
短期の事業目標や計画はもちろんあるけど、特にゴールは考えてないんです。
本を読んで知ったのですが、「ゴールマインドセット」と「ジャーニーマインドセット」という2つの考え方があって。
「ゴールマインドセット」は、目標を決めて達成感を楽しむこと。
「ジャーニーマインドセット」は、旅をするように人生を楽しむこと。
落ち込むことや大変なことも含めてすべて楽しむ、ジャーニーマインドセットが自分には合っていると思います。
誰にも操作されずに、旅するように人生を楽しみたいという想いが原動力ですね。
おもしろいことを共有して、仲間が増えていくと、できることも増えるし、行ける場所も増える。さらに、出会える機会も増えるんです。
この1年で驚くほど、出会いは増えました。ありがたいですね。
あまり思考せずに、「やってみる」というのが強みかもしれません。やってみて思うのですが、リスクになることなんてあまりないなぁ、と。
それこそ、このコロナ禍で、お笑い芸人のジャルジャルさんが、「Zoom」を使ったネタで大ブレイクしていて。
コロナ禍の状況が悪いと諦めるのではなく、この状況ってどういうことだろうと分析した結果だと思うんです。
要は、いいポジションに持っていければいいという話。
いつもジャルジャルさんのネタに笑わせてもらってるし、とても尊敬しています。
完全手作りの燻製肉を届けるために
ー燻製事業を始めて1年経った今、振り返ってみて、やってよかったことについて教えてください。
この1年でやってよかったことは、直売所でもある燻製工場を作ったことですね。
最初は燻製を作るのは外注だったんです。燻製を販売するのには特殊な許可が必要なのですが、許可を得るのが難しいので持っていなかった。
ハードルは高いけれど、いつかは自社製造で販売していきたいと考えていて。
奉還町にあるフクシマ宅建の岡田さんとツイッターを通して仲良くなって、奉還町の物件を紹介してもらいました。
うまいこと色々あてはまって、燻製工場の許可を取得することができたんです。
できたらいいなと思うだけでは何もできない。それができないと死んでしまうとなれば、何でもできますね。
自社製造できるようになって、事業としてはここからが始まりと思っています。
無添加ソーセージを自社工場で作るためのクラウドファンディング
ー2021年5月末からクラウドファンディングを始めたとお聞きしました。クラファンの内容について教えて下さい。
イベントや卸売りで人気のソーセージですが、現在は機械がないのですべて外注に出していて。ほとんど利益がないんです。
販路がやっと増えてきたので、人気のソーセージを自社工場で製造したいと考えて。
地産地消の無添加ソーセージを作るための設備投資や商品開発のために、クラウドファンディングを始めました。
町の小さな燻製屋ができることは限られています。
同じような業態のかたを応援したり、近所付き合いをしたり、町に貢献すること。
僕たちがやっていることをエンターテイメントに変えて、周りの人たちを巻き込んで、一緒に何かやりたいなって思ったからなんです。
ただの一方通行な販売サイトよりも、みんなが参加できる企画を導入したいと思って、クラファンを利用しました。
応援してくれたかたに、リターンとして返礼品を送る。そうすると人と人がつながれますよね。
僕は人とつながったうえで事業を続けたい。
僕だからこそ「買うよ」って人を自分の周りに引き寄せれたらと思います。
地産地消の無添加ソーセージを作ってコロナ禍を乗り切りたい! – CAMPFIRE (キャンプファイヤー) (camp-fire.jp)
ジビエ肉を無駄なく使う地域貢献
ー久米南町の地域おこし協力隊に就任されていますが、どのような活動をされてますか?
僕の場合は、主にキャンプ場の受付や管理、整備などをしています。
キャンプやアウトドアはもともと好きで、燻製事業とも親和性が高いんですよね。キャンプ場の運営はずっとやりたいと思ってました。
猟師さんが捕ったジビエ肉を、燻製してお返しすることもしています。
獣害対策として捕ったジビエ肉を無駄なく使う。SDGsにもつながる、地域貢献活動としていいですよね。
岡山のPRにつながることをしたい
ー今後やってみたいことなどがあれば教えてください。
今後は、もう少し卸先を増やしていきたいです。
販路が増えて、岡山の生産者さんからの買取量も増えれば、各生産者さんの応援にもなる。もっと強化していきたいと考えてます。
あとは、この燻製工場の一角を焼肉屋にしようと。
このスペースの広さ的には、3組しか入れないのですが、ロースターを置いてお肉とワインが楽しめる場所にしたいですね。
燻製肉だけでなく、岡山のもっとグレードのいい肉を味わってもらって、岡山食材の燻製屋として岡山のPRができれば。
また、岡山の和牛を使ったふるさと納税もやってみたくて。
コロナ禍なので、今は自分たちの製品を買ってくださいというより、生産者さんの応援になればと思います。
インタビューをおえて
「自分が生んだサービスをしっかり届けて、いろんな人と関わりたい」
笑顔が魅力的な篠原さんのお話は、前向きでパワーに満ち溢れていました。
多くの人と関わりながら、自分たちが楽しいと思うことに挑戦し続ける「とののベーコン。」
香り高いスパイスの燻製肉は、加熱加工済み。
「そのままで」「少し焼いて」「お気に入りの料理に加えて」など、家庭でもさまざまな味わいが楽しめます。
「とののベーコン。」のこだわりの燻製肉をお家で味わってみてはいかがでしょうか。
(文/まつこ 写真/悠貴)
▼とののベーコン。燻製販売サイト
▼とののベーコン。ツイッター
“煙屋”とののベーコン。岡山の燻製屋 丸1年の人さん (@tononobacon) / Twitter
▼とののベーコン。インスタグラム
▼2021年7月31日までクラウドファンディングに挑戦中【終了】
地産地消の無添加ソーセージを作ってコロナ禍を乗り切りたい! – CAMPFIRE (キャンプファイヤー) (camp-fire.jp)
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