#キニナッタ「真備町フォトウォーク」レポート(2024年4月13日開催)
良質で粘土質な赤土から育つ「たけのこ」の産地として知られる、倉敷市真備町。
横溝正史の長編推理小説「本陣殺人事件」の舞台でもあり、名探偵・金田一耕助が生まれたまちとしての一面も。
そんな真備町の春を堪能できるスポットをカメラ好きメンバーと一緒に巡りました。
のどかな風景が広がり、あたたかさを感じる真備町の今を写真中心に紹介します。
目次
真備ふるさと歴史館を訪れて
最初に訪れたのは、真備町岡田地区にある「倉敷市真備ふるさと歴史館」。
江戸時代にこの地を治めた岡田藩の文書や、当時の村人の暮らしを示す資料を公開する施設です。
また、金田一耕助の産みの親・横溝正史のコーナーも設けられ、晩年に使っていた書斎の一部を再現したものなど、貴重な資料が数多く展示されています。
金田一耕助になりきれる衣装セットの貸し出しもあります。
【※室内利用に限る(詳しくはスタッフにお問い合わせください)】
パンフレットや倉敷サイクリングマップをいただき、横溝正史疎開宅へ向けてフォトウォークがはじまりました。
季節を感じながら歩く「金田一耕助の小径」
真備ふるさと歴史館のすぐ裏側には、「岡田大池」と呼ばれる周囲約1kmの大きな池が広がります。
横溝正史が岡田地区に疎開したときに、この大池の周りを散歩コースとしてよく歩いていたそうで、「本陣殺人事件」に出てくる小さな池がこの大池ではないかと言われています。
「金田一耕助の小径」のコースとしても知られるこの道は、近所のかたが散歩コースとしてもよく歩いているとのこと。
「緑の木々の下を歩くのだけで気持ちがいいね」など、お話しながら歩きました。
稲荷神社の周りにある桜の木には、まだ花が残っていました。
少し葉桜になりつつ、時折風に花びらが舞い散る光景が見れるのも今だけ。
咲く前はまだかまだかと待ち遠しく長く感じた日々も、咲けばあっという間。散りゆく桜の姿を眺めながら、それぞれシャッターを切りました。
大池の周りをぐるっと半周すると見えてきたのが、横溝正史作品『悪魔の手毬唄』に登場する不気味な老婆「おりん」の像が。
「おりん」像の近くには、地域のかたが植えられたと思われるお花たちも。
青いネモフィラが可憐に咲き誇り、心なごみます。
鳥のさえずりを聴きながら歩くと、麦畑が見えてきました。麦の実が、気持ちよさそうに青空の下で背を伸ばしています。
ゆっくり写真を撮りながら歩いたので、時間は約30分ほど経過していました。
真備ふるさと歴史館から横溝正史疎開宅までは、通常徒歩約15分ほどの距離です。
田園の十字道の角に「濃茶の祠」と呼ばれる石造りのほこらが見えました。
「八つ墓村」に登場し、『たたりじゃ~!』と叫んだ濃茶の尼の名前は、このほこらから拝借されたとか。
このほこらから北へ約100m歩くと、「横溝正史疎開宅」です。
横溝正史疎開宅前「金田一畑」のチューリップがみごろに!
「横溝正史疎開宅」の前には、作品の世界観を彷彿とさせるミステリアスな黒や紫色のチューリップが開花。見ごろをむかえていました。
▼上品な濃い色の八重咲きチューリップの「キャニオン」。
▼黒に近い色のシックなダークカラーの「ポールシェラー」。
ミステリアスカラーを中心としたチューリップの種類は、7品種、約800本を栽培しています。
チューリップの隣には、バンジーの花で描かれた「金」の文字。
離れた場所で上から眺めると「金田一」をかたどった花文字があらわれました。
「金田一畑」を管理するひとにお話を聞くと『今年はちょうど金田一の誕生を祝うイベントにチューリップの見ごろが続きそうでよかった』とのこと。
横溝正史は疎開宅で過ごしていた1946年4月24日付の日記に“新たな登場人物 金田一”との記述を残しており、この日を名探偵の誕生日と決めて、2015年からイベントを開いています。
2024年は4月20日に「金田一耕助 春の誕生会」というイベントを開催されます。
岡山県立倉敷商業高等学校の吹奏楽部の演奏やこども神楽、山菜おこわやうどんなどの店舗も出店し、金田一耕助の誕生をにぎやかに祝います。
詳しくは、横溝正史疎開宅へお問い合わせください。
疎開宅から見える景色と、あたたかいおもてなし
せっかくなので、ぜひ上がって行ってくださいと疎開宅を管理するかたにお声がけされました。
横溝正史がかつて執筆で使用されていた部屋で、しばしの休憩。
縁側から見える手入れの行き届いた庭の景色を眺めると、差し込む光の暖かさが心地よく、時間を忘れてしまいそうになります。
ゆっくりしていってねと声をかけていただき、歓談を楽しみました。
戦後、横溝正史が日本で初めて本格理論的な推理小説を拓いた「本陣殺人事件」「獄門島」「八つ墓村」など多く名作がこの地から発表されました。
やわらかな表情を浮かべる横溝正史像や、顔出しパネルも。
このほがらかであたたかい土地で、数多くの名作が生まれたかと思うとなんだか心が躍りました。
春にはミステリアスなカラーのチューリップ、夏には黒いヒマワリが咲きます。
ゆかりの地に訪れるひとを楽しませるこの企画、花の見ごろに合わせて訪れてみるのもオススメです。
たけのこ茶屋で春を味わう。まきび公園へ
再び真備ふるさと歴史館へ戻り、次はたけのこの産地として有名な箭田(やた)地区にある「まきび公園」へ車で向かいます。
「まきび公園」では円窓から見える六角亭など、写真映えするスポットがたくさん。
桜は見ごろを過ぎて葉桜となっていましたが、ふわふわと舞う桜を見ながら気持ちよさそうに春のひとときを過ごす方たちが集まっていました。
上の池から流れる水がきらめきながら下の池へ。
涼しげな池を眺めながら、撮影に夢中になります。
春には桜、秋には紅葉と、中国風庭園は季節折々の姿を見せてくれます。
フォトウォーク最後には集合写真を撮影し、ランチタイムへ。
たけのこの旬の時期になると、真備町産たけのこの販売で人気の「たけのこ茶屋」。
こちらでいただける期間限定(4月末まで)の「たけのこご飯セット」をいただきました。
甘くてやわらかいたけのこを味わい、味覚でも春を満喫した一日となりました。
フォトウォークを終えて
久しぶりに訪れたかたや、初めて訪れたというメンバーもいた今回の真備町フォトウォーク。
金田一耕助の小径を中心としたコースを写真を撮りながら、約2時間の散策をしました。
日常のなかにそっと寄り添うような、春の思い出の1ページとなったのではないでしょうか。
春は、はじまったばかり。真備町の歴史に触れながら、豊かな自然を楽しんでほしいと願います。
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