【高梁】ベンガラのまちを散策。新たな拠点・木造校舎「旧吹屋小学校」を訪れて
岡山県の中西部・高梁市成羽町の標高約550メートルの山間部に位置するベンガラのまち「吹屋(ふきや)」。
その吹屋地区には、現役最古の木造校舎として使用されていた「旧吹屋小学校」があります。
1900年(明治33年)に東西校舎、続いて1909年に本館が建築され、2012年3月に閉校。
2015年に建物を全解体し、地盤補強と建物の構造補強を実施する保存修理工事に着手。
2022年(令和4年)2月に竣工し、4月21日に一般公開されました。
吹屋の歴史や文化を伝える、新たな拠点「旧吹屋小学校」を中心に、吹屋ふるさと村のようすを紹介します!
目次
「ジャパンレッド」発祥の地・備中吹屋について
江戸時代以降、国内屈指の弁柄(ベンガラ)と銅(あかがね)の生産で栄えた鉱山町・吹屋。
ベンガラの生産で富を得た商人たちは、赤い瓦とベンガラで彩色された格子で家々を飾り、今もその美しい赤い町並みが残っています。
吹屋で生産された赤色顔料の弁柄は全国に流通し、日本を代表する工芸品を鮮やかに彩り、日本のイメージカラーである「ジャパンレッド」を創出しました。
江戸時代から残る独特な景観は、1974年(昭和49年)には岡山県のふるさと村に認定され、1977年(昭和52年)には国の重要伝統的建造物群保存地区に選定。
2020年(令和2年)には、『「ジャパンレッド」発祥の地 -弁柄と銅の町・備中吹屋 -』として日本遺産に認定されました。
明治時代から残る・現役最古の木造校舎「旧吹屋小学校」
銅山とベンガラ製造が盛んだった明治時代後期に建てられた「吹屋小学校」。
貴重な文化財建造物として将来に継承するために、2015年10月から保存修復工事に着手。
全て解体したあと、耐震性の高いパネルで補強し、できるだけ木造や瓦はそのまま使用して、現役当時の面影を残して修復されました。
約7年の大規模な修復工事を経て、2022年4月21日より一般公開された「旧吹屋小学校」。
新たな観光スポットの拠点として、早くも注目を集めています。
「旧吹屋小学校」の入館料は、大人500円、小中学生250円です。(※障がい者手帳を掲示のかたと高梁市内在中の65歳以上のかたは無料)
営業時間は10時から16時まで。
明治から令和へ。受け継がれた建物の細部まで注目して
残された古い机を復元し、二人掛けの机と椅子も忠実に再現されました。
本館の背面に位置する「三間廊下(さんげんろうか)」。
入口を入ってすぐ、迫力のある空間が広がっています。
17間、奥行3間の三間廊下は、雨天体操場として体育の授業が行われたり、学芸会などの催しも行われました。
三間廊下の上部には、擬洋風建築の特徴でもある三角形のトラス構造の骨組みを見ることができます。
2階へあがる階段の手すりを見ると、小さな古い傷跡がそのまま残っていました。
「このキズのこってるよ、なつかしいね」と笑顔で歩く卒業生のかたの声も聞けました。
いたるところに、当時の面影がきれいに復元されているようすを垣間見ることができます。
タイムスリップしたような気分を味わおう
2階の講堂には、創建時の1900年(明治33年)に購入されたヤマハ製のオルガンが保存された「100年オルガン」が。
天井は「二重折り上げ棹縁(さおぶち)天井」という和洋折衷の技術が見られます。
訪れた雨の日は、しっとりと濡れた瓦を2階の窓から見れました。規則的に並べられた瓦の美しいグラデーションにも注目です。
新感覚?バーチャル体験がキニナッタ!
旧吹屋小学校では、現実世界と仮想世界を融合させた映像技術を楽しめる、XR(クロスリアリティ)体験が可能です。
XR体験ができるハイカラ眼鏡の貸し出しは1台、1000円。(利用時間約60分)
ハイカラ眼鏡を着用して、7か所設置されたコンテンツへ近づくと、3D映像を360度どこからでも視聴可能。
吹屋小学校にまつわる歴史を過去の映像から学んだり、目の前に浮かぶAR鍵盤で演奏も。
訪れた際には、最新技術を使ったハイカラ眼鏡(MRグラス)をぜひ体験してみてください。
▼旧吹屋小学校の地図はこちら
※旧吹屋小学校には駐車場がないため、下町観光駐車場をご利用ください。
※東側からのルートは極端に細い道があるため、ご注意ください。
ベンガラ製造と販売で栄えた、重要文化財「旧片山家住宅」
ベンガラ製造と販売で約200年余りにもわたって栄えた片山家。その家屋は、吹屋の歴史的景観の中でも欠かせない建造物です。
近世ベンガラ商家の典型として評価された「旧片山家住宅」は、2006年(平成18年)に国の重要文化財に指定されました。
「旧片山家住宅」の入館料は、向かい側にある「郷土館」と共通料金で、大人500円、小人250円。
赤い石州瓦で葺かれた二階建ての母屋は江戸時代に建てられ、江戸時代末には仏間、明治時代には座敷が増築され、ベンガラ商いによって隆盛したようすを残しています。
2階に上がる階段は急な勾配のため、足元にはご注意ください。
母屋の奥には弁柄蔵が立ち並ぶ、約500㎡の広大な屋敷です。
接客の場として使われていた一階の座敷では、銘木がふんだんに用いられ、美しい伝統やみごとな欄間(らんま)が。
細部まで注目して、歴史ある住宅の雰囲気を味わってみてください。
2022年6月17日から公開の恋愛映画「恋は光」。
平祐奈が演じる東雲の自宅として使用されています。
ヒロインがパジャマパーティーで語り合う、印象的な縁側での場面。こちらも要チェックですね!
▼旧片山家住宅の地図はこちら
町あるきの休憩に。築約130年の古民家カフェ「Cafe 燈(あかり)」
「改修して終わり」ではなく、「改修して活用していく」という志を持った地元住民によってオープンした一棟貸しの宿「千枚」。
その宿泊施設の一角にある「Cafe 燈(あかり)」は、地元食材を使ったおばんざいランチを提供するカフェとして2018年にオープンしました。
金土日月営業のカフェ。採れたて野菜を使った「日替わりランチ」の他にも地元食材を使ったスイーツも。
本日のケーキと珈琲または紅茶がセットになった「ケーキセット」。
もち麦のクレープには色とりどりのフルーツもたっぷり添えられて見た目も華やか。渋みの少ない紅茶はスッキリとした後味。
ほっとひと息つき、ゆっくりと休憩することができました。
▼「Cafe 燈」の地図はこちら
吹屋産唐辛子を使用した、辛味調味料を販売する「佐藤紅商店」
現在は過疎化や高齢化が進んだ吹屋地区。
そんな地域に新たな名産を誕生させるため、地元で栽培した唐辛子を使用した辛味調味料の製造販売を行う「佐藤紅商店」。
唐辛子の栽培は無農薬、加工は添加物を一切使用せず、原料は岡山県産をメインに製造しています。
立ち上げ当初はオンラインショップや県内外のショップを中心に販売。
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2022年4月、吹屋ふるさと村の中心部に直営店舗をオープンしました。
店舗では商品販売や、石臼を使った一味づくり体験もできます。
吹屋の紅だるま・赤柚子胡椒を中心に、赤しそシロップやにんにくみそなどの調味料がずらり。
店舗の吹屋でしか購入できない限定モデルの「吹屋の紅だるま粗びき」も。
粗めに刻んだ唐辛子に藻塩をひとつまみしたパンチのある味わいに仕上がっています。冷ややっこや餃子、卵かけごはんにのせて食べるのもオススメ。
愛らしいだるまや天狗の赤いパッケージはお土産にもピッタリです。
▼佐藤紅商店の地図はこちら
※営業日は火・水・土曜日、営業時間は9時30分~17時まで。
大きなお団子が目印!「Cafe松栄館(しょうえいかん)」
吹屋ふるさと村の町あるきの最後に紹介するのは、「Cafe 松栄館」。お店の軒先では、大きなお団子が販売されています。
お団子は、白と草とベンガラの3種類。たれは、みそとみたらしの2種類。1本400円です。
ベンガラのお団子にみそのたれを購入。
食欲をそそる香ばしいみそだれがモチモチのお団子に良く合います。
イートインでのんびり、はたまた赤い町並みを眺めながらいただくのも良いかもしれませんね。
▼「Cafe松栄館」の地図はこちら
ジャパンレッド発祥のまち。新スポットめぐりを楽しんでみて
ノスタルジックな雰囲気を味わえる「旧吹屋小学校」を中心に、吹屋ふるさと村を散策したようすを紹介しました。
赤で統一された、ジャパンレッド発祥のまち「吹屋」。
地域を更に盛り上げようと奮闘する人たちの情熱も感じることができました。
あなただけの新しい魅力を見つけに訪れてみてはいかがでしょうか。
▼吹屋ふるさと村下町駐車場の地図はこちら
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