
「瀬戸内かわいい部」インタビュー ~せとかわデニムプロジェクトのあゆみ~【前編】
「わたしたちは、どこへだって行ける」
この言葉は、「瀬戸内かわいい部」がデニムプロジェクトを通して感じたこと、そう感じたいと願いがこめられたフレーズです。
瀬戸内地域の魅力的なモノ・コトを「かわいい」という観点から探し、伝え、育てる、ゆるやかなコミュニティ、「瀬戸内かわいい部」。
2019年より歩み続けてきたプロジェクト、「せとかわデニムプロジェクト」。

Photo by 瀬戸内かわいい部
「プロジェクトを通して出会えた人と、素敵な景色を作りたい」
メンバーの想いから始まったストーリーが、2021年あらたな展開をむかえます。
瀬戸内の魅力を発信する「瀬戸内かわいい部」が誕生したいきさつ。そして、生まれた企画商品「瀬戸内デニムピクニックシート」 。
運営メンバーの、やすかさん、みなみさん、まみこさんにオンライン形式でお話を聞きました。
目次
「瀬戸内かわいい部」が誕生したストーリー

Photo by 瀬戸内かわいい部
ー「瀬戸内かわいい部」が発足した経緯について、教えてください。
やすか:2018年西日本豪雨後、倉敷美観地区は被害がなかったにも関わらず、観光客が激減しました。
「#美観地区は元気だったよ」のハッシュタグで、当時の美観地区のようすをYouTubeで発信したことがはじまりです。
当時参加していたオンラインコミュニティ「旅、ときどき仕事」のメンバーが、復興支援のために岡山に来てくれることになったんですよ。
そこで私が岡山を案内したのですが、自分が思ってた以上に「倉敷、岡山っていいね」と言われて。
岡山に生まれて岡山にずっと住んで気付かなかった地元の魅力を、県外のかたに改めて教えてもらったんです。
この気づきをイベント一回だけで終わるのはもったいないと思って、自分ももっと岡山のいいところを探してみようと思いました。
それが「#瀬戸内かわいい部」と「#せとかわ」のハッシュタグでSNS発信を始めたキッカケです。
短期間の間でもたくさんの魅力的なものが見つかりました。
自分ひとりだけでなく、ほかの人とも一緒に楽しみたいと思うようになって。2018年8月25日にツイッターで「一緒にやりませんか?」とお声掛けしたのが「瀬戸内かわいい部」の始まりです。
ー自己紹介をお願いします。
やすか:瀬戸内かわいい部の部長、やすかです。
インスタグラムの更新担当と、デニムプロジェクトのSeason1では、打ち合わせで岡山のかたに会いに行ったりしてました。
まみこ:やすかさんのせとかわでの役割を補足すると、「せとかわ」の世界観そのものだと思う。
やすか:ありがとうございます!

やすかさん Photo by瀬戸内かわいい部
まみこ:私は、もともと長野に住んでいてたんですけど、2019年にUターンで地元の香川へ戻ってきて、そのタイミングでせとかわの運営に加わりました。
なんだろうなぁ、ガヤ担当です(笑)。
デニムプロジェクトでは、パッケージやタグのデザインを主に担当しました。

まみこさん Photo by 瀬戸内かわいい部
みなみ:私は備前市出身で、現在は東京に住んでいます。離れた場所から、地元である瀬戸内の魅力を伝えたいと思って参加しました。
せとかわデニムプロジェクトでは、プロジェクトリーダーを担当しています。

みなみさん Photo by 瀬戸内かわいい部
せとかわの活動を通して広がる輪
ー「瀬戸内かわいい部」は、今までどのような活動をされてきましたか?
やすか:2018年10月の尾道でフォトウォークから始まりました。
2019年1月に初のオープンイベント「瀬戸内かわいい部 おはなし会」。
EVERY DENIM(現・ITONAMI)さんとのコラボ企画「せとかわデニムプロジェクト」のプレイベントとして、広島県福山市にあるデニム工場「篠原テキスタイル」さんへ工場見学&染め体験ツアーを3月に開催しました。
4月に、倉敷美観地区で「和菓子さんぽ」。
せとかわ1周年のときは、写真展「このまちの光」を東京で開催。

写真展「このまちの光」のようす Photo by 瀬戸内かわいい部
そして11月に、交流会「せとかわ meets the デニム」を「DENIM HOSTEL float」で 行いました。

「せとかわ meets the デニム」のようす
2020年の春にデニムピクニックシートの発売したけど、コロナウイルスの影響で対面のイベントがなかなかできなくなってしまって。
5月にオンラインマルシェ、8月と11月に「花・緑ハーモニーフェスタin西川」のマルシェへ出店。
2021年2月は、香川県の多度津で開催されたイベントにゲスト参加しました。
ーさまざまなイベントや活動をしてきたんですね。多度津のイベントはどのような内容のものだったんですか?
まみこ:多度津の町おこしの一環として、せとかわに声をいただいて。
香川県多度津町まねきねこ課が主催する、街がもっと好きになるセミナー「#瀬戸内まねこ会」というイベントに呼ばれたんです。

Photo by 瀬戸内かわいい部
これまでの瀬戸内かわいい部の取り組みをお話して、多度津のまちでフォトウォークをしました。
よく勘違いされるんですけど、せとかわの「かわいい」ってスイートやキュートではないんですよ。
「いとしい」とか「大事にしたいもの」とか、誰かにいいよって伝えたくなるものなんです。
そうお伝えしたら、イベントに参加してくれた写真部の男子高校生が「それならわかる!」と共感してくれて。昔からの看板や町並みを積極的に撮影したんです。

Photo by 瀬戸内かわいい部
積極的に町に隠れていた「かわいい」を撮影するために動いてくれたのが、すごく面白かったですね。
ーせとかわの活動が受賞されたと聞きました。詳しく教えてもらえますか?
みなみ:日本のソトやパブリックスペースを豊かに楽しく活用するケースが増えている中で、議論に値するもの、一定の成果を挙げたもの、これからの展開が期待されるものなどの事例を表彰する、日本初のソト(屋外)空間全般を対象とした表彰プロジェクトである「ソトノバ・アワード」。
せとかわの今までの活動やピクニックシートが評価されて、ソトノバ・アワード2020で「私のソトノバ部門賞」を受賞しました。

Photo by 瀬戸内かわいい部
審査員のかたからは、「遠方からでも地方である瀬戸内と関われるような取り組みが、ウィズコロナの今らしい」
「砂浜にデニムピクニックシートを広げるこの景色を、単純にまねしたい」とコメントをいただきました。
ちょっとずつせとかわの活動が広がって、評価してもらえるようになったのは嬉しいですね。
人とのつながりを作りたい
ー次に、せとかわデニムプロジェクトについて詳しく教えてください。

「せとかわ meets the デニム」のようす
やすか:「せとかわデニムプロジェクト」は、わたしたち「瀬戸内かわいい部」とデニムブランド「EVERY DENIM(現・ITONAMI)」がコラボした商品開発企画です。
瀬戸内はデニムの一大生産地。その生産の過程で生まれるデニムのB反(たん)とよばれる、小さな傷やほつれがあるために市場に流通されない廃材を活かして、瀬戸内の魅力を届けたいという想いで商品化しました。

Photo by瀬戸内かわいい部
まみこ:商品化するまで、とても大変でした。ランチョンマット、傘、エコバッグなどいろんな案が出て。
でも、私たちはデニムの商品を売りたいのではなく、この商品から瀬戸内の魅力を知って欲しい。人とのつながりを作りたいという考えに至ったんです。最終的に、デニムピクニックシートにいきつきました。
そこからもいろいろありましたね。メンバーの中でも「かわいい」の基準が人によって違うので、ボタンやレースをつけるとか、中綿を入れるとかさまざまな意見がでました。
やすか:「瀬戸内かわいい部」がプロデュースするものなので、自分たちがかわいいと思うもの、そしてほかの人からみてもかわいいものでないとダメ。
デニムは、カッコイイ、武骨なイメージがあるので、かわいい部分を見つけるまで、メンバーで議論を重ねました。
どこをかわいいとして残そうか。
最終的に、いろいろそぎ落として、今のシンプルな形になりました。

Photo by瀬戸内かわいい部
ー瀬戸内デニムピクニックシートについてのこだわった部分や、商品について詳しく教えて下さい。
まみこ:水や汚れを防ぐテフロン加工をシートの全面に施したので、洗ったあとにアイロンなどの熱を加えると撥水加工が戻るんです。
また、持ち手をセルビッチという特殊な縫い方のものにしたり、シートの裏側にはベルトループをイメージしたペグ打ち用のパーツを取り付けました。

Photo by瀬戸内かわいい部
ループに紐やリボンを通して、シートとシートをつなげれば、大勢でピクニックすることもできるんです。
極限までシンプルにしているけど、割とこだわっています。
Season2の瀬戸内デニムピクニックシートについて
あらたに、ベージュやグレーの新色が加わった、Season2のデニムピクニックシート。

Photo by瀬戸内かわいい部
▼以下、公式HPより抜粋
【通常サイズ(150cm×90cm前後)】
●かすみの空:淡い霞がかかった春の空をイメージしたグレーのデニム。花びらのようなコーラルピンクの縫い糸を差し色が特徴。
●砂浜:波打ち際の砂浜のような、ベージュのデニム。縫い糸はゴールドできらきら輝く浜辺の様子をイメージ。
●夕影の海:少し濃いめの紺色デニム。ほんの少しだけ赤みがかった紺色を夕焼に重ねた。
●流れ星の海:ストライプ柄が特徴のデニム。濃いめのグレーに近い落ち着いた色味。
●晴天の海:スタンダードな紺色デニム。少し青みが強い紺色に晴れ渡る空を重ねた。

Photo by瀬戸内かわいい部
【大判サイズ(150cm×150cm前後)】
●花曇りの海 ①ネイビー ②ネイビーダーク
通常の2倍の大判サイズ。「デニムの裏地のかわいさをピクニックシートで表現したい」という思いからうまれた、表裏リバーシブルで使える、個性的なデザイン。
生地の端のステッチがアクセントの「セルビッチデニム」。シートの真ん中の生地の繋ぎ目もセルビッチテープ風に仕上げて、セルビッチデニム(ニードル織機という旧式の織機で織られた特殊なデニム生地のこと。 生地の端(=耳)にほつれ止めがされているのが特徴)のかわいさをぎゅっと詰め込みました。
▼公式オンラインストアはこちら
ピクニックシートにこめられた想い。そして、あらたな一歩を踏み出す
当初、1年間の期間限定でスタートした「せとかわデニムプロジェクト」。
活動をつづけていくうちに、瀬戸内で過ごすおだやかな時間を伝え、瀬戸内デニムピクニックの輪をもっと広げていきたいという想いで、あらたな一歩を踏み出しました。
2021年に再始動した「せとかわデニムプロジェクト Season2」。
プロジェクトを通して感じた想いや、みんなで瀬戸内の魅力を共有できる新企画については【後編】でお届けします。

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