矢掛町フォトツアー~宿場町矢掛の魅力を探るまちあるき
旧本陣石井家・旧脇本陣高草家が現存し、宿場町の面影を色濃く残す矢掛町。
2021年3月、道の駅「山陽道やかげ宿」がオープン。
7月には、開業4カ月で早くも来場者数10万人を達成しました。
重要伝統的建造物群保存地区に選定された歴史ある町並みと、矢掛商店街の新たなスポットを散策するフォトツアーが開催されました。
アルベルゴ・ディフーゾタウンとして世界からも注目される矢掛の魅力を、カメラ好きのメンバーと共に探ります!
目次
道の駅「山陽道やかげ宿」からスタート
矢掛町フォトツアーが開催されたのは、2021年12月。少し肌寒い、曇りの日でした。
スタート地点は、道の駅「山陽道やかげ宿」。
入口をくぐると、大きなクリスマスツリーが出迎えてくれました。
「jam tun」のアフリカ布を使ってデコレーションされたツリーは、とても華やかで見応え抜群です!
矢掛町出身・在住の田賀朋子さんが代表を務める「jam tun(ジャムタン)」は、アフリカ・セネガル産の布を使ったアパレルや小物を販売しています。
岡山県出身の工業デザイナー・水戸岡鋭治(みとおかえいじ)氏がデザインした「山陽道やかげ宿」。
建物全体はもちろん、天井にも美しい柄が施されているので必見です。
旧山陽道を歩いてみよう
さぁ、矢掛町歩きの旅へ出発!
最初に訪れたのは、公会堂として1928年ごろ建設されたという「交譲会館」。
その洋館の手前には由加神社。和の建物が並ぶ中、黄色の洋館が一際目立ちます。
脇本陣6代目高草家当主の息子である梶原譲氏が、ふるさとの要望にこたえて寄付されました。
今回の矢掛町フォトツアーでは、⽮掛町地域おこし協⼒隊の⻄野沙織さんが現地コーディネーターとして参加。
笑顔が素敵な西野さんは、古民家を再生した宿「矢掛屋」の元・女将です。
2021年の現在は、矢掛町のPRグッズの作成や、地元の農家と提携して食材の商品開発に取り組まれています。
この日は、矢掛に初訪問のメンバーも。カメラ片手にゆっくり、西へ進んで行きます。
「テンペ料理発酵亭」の店舗前では、テンペコロッケなどの販売もしていました。
「テンペ」はインドネシア発祥で大豆を発酵させた、ヘルシーで栄養価の高い食材。消化系の抗菌作用や血中コレステロール低減の効果があるとのこと。
そんなテンペを使った料理を提供している店舗では、リーズナブルかつ品数豊富な定食メニューが人気です。
▼約60年の歴史がある「渡辺製麵所」では、2021年3月より「うどんどう」という飲食スペースが拡張されました。
製法が受け継がれ、たんわりした麺が魅力のうどうんどう。柔らかくもっちりとして食べやすいので、幅広い世代のかたが訪れていました。
うどん以外にも、地元産野菜の天ぷらや蕎麦などのメニューもあります。
屋根に注目して歩いてみて
「ぜひ、鬼瓦に注目しながら歩いてくださいね」と、西野さん。
上に目を向け、鬼瓦をじっと見つめてみると…
亀だったり。
七福神だったり、さまざまなんです!
矢掛の鬼瓦には共通点があるとのこと。その答えは、フォトツアーの最後に明かされますのでお楽しみに。
矢掛町全体のおもてなし
▼住民のかたが気さくに声をかけてくれます。
「今日は皆さんどこから来られたん?」
矢掛町の人びとと交流できるのも、町歩きの魅力のひとつです。町全体で「おもてなし」されているのを感じます。
道の駅から旧山陽道を約350メートル西へ歩くと、矢掛町の観光拠点「やかげ町家交流館」へ到着。
昭和初期の古民家を改修した趣のある建物には、特産品を販売したり、イベントなどの観光情報をお伝えするコーナーが設けられています。
やかげ観光大使でもあるマスコット「やかっぴー」の各グッズも購入できます。筆者もやかっぴーぬいぐるみをゲットしました!
町並みを眺めながら歩いていると、どこの家の軒先にも杉玉が並んでいることに気づきました。
杉玉は、「新酒ができたよ」と知らせるために酒屋さんの玄関に飾られるものでした。
矢掛町の場合は、「表も裏もなく、上も下もない。おもてなしの心でお迎えしますよ」という意味でどこの家にも杉玉が飾られている、と教えてもらいました。
アジア初認定!アルベルゴ・ディフーゾ
江戸時代の古民家を再生した宿「矢掛屋」の本館へ。
本館には、宿泊の客室はもちろん、食事処「花鳥風月」やShot Bar「波」。
別館には、イタリアンレストラン「宿場町 矢掛の 侍イタリアン」や温泉施設があります。
宿泊施設「矢掛屋」は、アジア初の「アルベルゴ・ディフーゾ」として2018年に正式認定されました。
アルベルゴ・ディフーゾとは、イタリア語で「分散型ホテル」という意味。
町の中に点在している空き家をひとつの宿として活用し、町をまるごと活性化しようというものです。
矢掛屋の本館には中庭があり、南側の小田川方面へと通り抜けることも可能です。
バイク乗りが集まる町
再び旧山陽道へと戻ると、バイカーの集団に遭遇しました。
矢掛町はなんとバイカーズカフェが3店舗もあり、バイカーが集う町でもあるんです!
そのひとつが、旧山陽道沿いにあります。
ミニギャラリー&ミニカフェ「ポンムヴァン」さんです!
土日のみ、10時~夕暮れまで営業。バイク乗りのかたが休憩にと訪れます。
お店の前ではバイクと一緒に店主さんと撮影される光景も見れました。
高所から眺める、矢掛の町並み
次は、水楼をモチーフとした高さ約16メートルの水見やぐらが目印の「やかげ郷土美術館」へと向かいます。
▼廻り階段を登って、最上階から眺める景色。
矢掛の町並みを360度見渡すことができます。
上から眺めると、また違った矢掛の景色に出会えます。
▼やかげ郷土美術館のすぐ外には、錦鯉の池も。
エサやりすることもできるので、フロントに気軽に声をかけてください。
“エサやりに挑戦っぴ!”
やかっぴーも楽しそう。
パクパクと口をあけるかわいい鯉に癒やされます。
フォトジェニックな壁がいっぱい
てくてくと歩いていくと、フォトジェニックな壁を発見しました。
矢掛には通称「矢壁」と呼ばれる撮影スポットがいくつかあります。
ぜひ、「#矢壁」「#yakabe」のハッシュタグをつけて、SNSに投稿してみてください。
フォトジェニックな壁を探して町歩きをするのも楽しいですよ。
石臼で仕上げる、チョコレート専門店
「そろそろ休憩にしませんか?」
石挽き+カカオで驚きと美味しさを届ける、クラフトチョコレートとカカオの専門店「石挽カカオissai(イッサイ)」へ。
カカオ豆からチョコレートが出来上がるまでの工程を一貫して行い、こだわりの矢掛産白花崗岩の石臼で仕上げています。
原材料はカカオ豆と和三盆のみ。産地ごとのピュアなカカオの味わい、香りが楽しめるんです。
店舗内ではBean to Barを追求したクラフトチョコレートやドリンクを販売しています。
出発地点へふたたび
さぁ、そろそろスタート地点の「山陽道やかげ宿」へ戻りましょう。
骨董品店「アートギャラリー本陣」では、かわいい看板猫たちが出迎えてくれました。
カメラ好きのかたは猫好きの人が多いのかも?みんな夢中で撮影していました。
気づけば、日も傾き。あっという間に約4時間が過ぎていました。
コーディネーターの西野さん発案で、一年後の自分に向けた手紙を書くことに。
今日一日の矢掛町フォトツアーを終えての感想や、一年後の自分に向けたメッセージを手紙にしたためました。
最後に。矢掛の鬼瓦について教えてもらいました。
シャチホコ、恵比寿様、亀、波…。それぞれ「水」に関係する形が共通しています。
小田川が近く、たびたび水害に見舞われた矢掛町。福を呼ぶ縁起物として、また防災を願って水に関するものが多いようです。
ぜひ、訪れた際には屋根にも注目してみてくださいね。
矢掛町フォトツアーをおえて
何度訪れても新しい発見がある町、矢掛。
その魅力は、矢掛町に関わる人たちのあたたかい「おもてなし」があるからこそと感じます。
カメラマンさんの写真をみると、”こんな場所あったかな?”といつもと違った視点も楽しめました。
今回散策したのは、矢掛町のごくごく一部です。
何度も訪れることでもっと好きになるまち。歴史ロマンに思いを馳せながら、矢掛町をじっくり堪能してみてはいかがでしょうか。
協力/合同会社TEGOU
(文/まつこ 編集/悠貴)
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屋根瓦は、水害よりも火災を防ぐために水に関する意匠や雲の意匠が多いのです。