
矢掛町「ときとま」インタビュー~カフェと木工作家フジタマリのギャラリー
道の駅「山陽道やかげ宿」が2021年3月にオープンし、商店街を中心ににぎわう岡山県・矢掛町。
宿場町の町並みを残す本陣通りの東側に、あたたかな木工作品が並ぶギャラリー&カフェが2021年5月にオープンしました。
「ほっと落ちつけるひと時、木を主とするフジタマリの作品、その空間を楽しんでほしい。」
「時と木と間」をつなぎあわせて、「ときとま」と名付けられました。
木工作家であるフジタマリさんの作品が並ぶギャラリー。
そしてフジタマリさんの妹・藤田恵莉奈さんが作る季節のドリンクやお菓子を提供するカフェです。
矢掛町へ移住した、姉妹が営むお店の魅力をインタビューを中心に紹介します。
目次
居心地のよい空間。ギャラリー&カフェ「ときとま」
「ときとま」は、矢掛町の古民家をリノベーションして生まれました。
できるだけこの建物の良さを引き継ぎたいという思いから、この家で使われていた古材を天井や建具なのに活かしています。
妹さんが作るスイーツは、程よい甘さが特徴です。
バナナの風味をほんのり感じる、ふわふわの柔らかい生地。
そのケーキの表面にはカリカリ食感の焦がしキャラメル。口にすると、上品な味わいが広がります。
そして店内では、ころんとしたフォルムがかわいい、姉のフジタマリさんが作る木工のアクセサリーや花器などが並んでいます。
ドリンクやお菓子で、ほっと一息つくのもよし。ギャラリーであたたかな木工作品をゆっくり眺めるのもよし。
そんなお店が生まれたいきさつについて、姉妹の二人にお話を聞きました。
あたたかみのある木工作品を作るようになったのは
ーフジタマリさんが木工作品を作るようになったきっかけについてお話していただけますか?
姉:小さいころから絵を描くのが好きで。昔から作ることが好きだったんです。
大学では、石の彫刻を専門として学んでいました。
何を将来やりたいか考えたときに、彫刻というオブジェではなくて、人に使ってもらえるものを作りたい、と。
木は生活になじみのある素材で、ぬくもりを感じますよね。
木を使った家具作りに興味をもって、金沢の大学卒業後に木工の勉強を始めました。
ーどういった経緯で矢掛町へ引っ越されたのですか?
姉:私は京都で生まれて、そこから大阪へ引っ越し、大学は金沢へ。
長野で木工の勉強をして、岐阜で工房を構えて、そこで木工作家として活動をしていました。
そして、主人が矢掛町へ転職することになった約3年前。2018年に矢掛へ引っ越してきたんです。
木の色の特性を活かした作品
ーフジタマリさんの木工作品についてご紹介していただけますか?
姉:使うこともできて、オブジェとして置いても見ても楽しんでもらえるものをコンセプトに、ダイニングテーブルやチェアなどの家具から、アクセサリーや花器などの小物などを制作しています。
木のもつ自然の色味や異なる木目が好きでそれを活かした作品が多いです。
ホオ、クルミ、サクラなど10種類以上の木を使っています。

注文後に受け取る木札(10種類)
日々の暮らしの中に彩りを加えられるような作品作りを心がけています。
小物に関しては、曲線を意識して作っていますね。
オーダーメイドも受け付けているので、お問い合わせください。
▼木工作家「フジタマリ」ホームページ
ー作家として、喜びを感じるときはどんな時ですか?
姉:最初は、絵を描いて、図面を書いて。工程を踏んでいって、最後に作品が完成したときが一番嬉しいですね。
その次は、販売をして、お客さんに手に取ってもらえて、「気に入ったよ」という声が聞けたときです。
お客さんのそういった声が、製作の励みになります。
ギャラリー&カフェが誕生したいきさつ
ーこのギャラリー&カフェが誕生したいきさつについてお話ください。
姉:独立して木工をやり始めるようになってから、いつか自分のギャラリーを持ちたいと思っていました。
作品を並べたギャラリーがあって、ちょっとしたお菓子や飲み物でもてなせる場所があればと考えるようになって。
私ひとりでは販売をするのは難しいので、お菓子づくりと人と接することが好きな妹に声をかけたのがはじまりです。
矢掛町産のものを使ったお菓子やドリンク
ー妹の恵莉奈さんは、昔からお菓子作りが好きだったのですか?
妹:子供向けの料理番組がキッカケでお菓子を作るようになったんです。
テキストを取り寄せて、それを見ながらよくお菓子を作っていました。
好きが興じて、カフェのオーナになれちゃいました(笑)。

キャラメルバナナタルトとレアチーズタルト(自家製ももジャム添え)
ーお菓子のコンセプトについて教えて下さい。
妹:マフィン、チーズタルト、ブラウニー、キャロットケーキなど。
ランチの後でもペロリと食べられて、コーヒーと合わせたバランスを考えた甘さを意識して作っています。
あとは、できるだけ岡山県産のものを使って作ろうと考えていて。
矢掛町産のブルーベリーを使ったマフィンや、自家製シロップを使ったドリンクなどを日替わりで提供しています。
このお店を通じて、矢掛町を知っていただくきっかけのひとつになれたらと思います。
古材を使ったこだわりのお店作りについて
ー木工作品と溶け込むお店の内装も、とてもステキですよね。お店づくりに関して、こだわった部分など教えてください。
姉:約2年前からこの物件の片付けや工務店さんに入ってもらって少しずつ作っていきました。
古い梁や柱はそのまま、壁は自分たちで漆喰を塗り、この家で使われていた古材も利用して。
古いものと新しいものをうまく取り入れた店づくりをしています。
たとえば、もともとのフローリング材をはがして、テーブルを私が作ったり。
畳の下にひいてあった床板をはがして、入口の天井にはってみたり。
自分たちで作れるものは自分たちで作って、楽しみながらリノベーションしました。
矢掛町へ移住して、今思うこと
ーお店がオープンして約4ヶ月ほど経ちましたが、始めてみてよかったことなどお話ください。
妹:私が作ったお菓子を食べて喜んでもらえる声を直接聞けるのが嬉しいです。
喜んでもらえたら、次は何を作ろうかなというモチベーションにもつながるし、やりがいにもなっています。
姉のギャラリーを含めて、この空間を楽しんでもらえていることもすごく嬉しいですね。
ー矢掛へ引っ越して、住んでみて。お二人が思ったことなど教えて下さい。
姉:矢掛町は、お店や施設などが全部ぎゅっと集まっていて、暮らしやすいところがいいですね。
子育て世代に優しく、保育園や支援センターもあって。買い物も子育てもしやすい町だと思います。
妹:矢掛町は宿場町なので、外からの人に対してもオープンなところがいいですね。
町の皆さん優しくて、とても親切です。お隣のかたが野菜を持ってきてくれたり、いつもよく気にかけてくれるんですよ。
まちと共に進化していく「ときとま」
ー今後はどんなことを「ときとま」でやってみたいですか?
姉:今後はこのお店で、お菓子付きのワークショップや他の作家さんとの企画展などをしてみたいです。
妹:今はお菓子とドリンクのみですが、いずれはランチも提供できればと考えています。
古いものと新しいものが溶けあう、カフェギャラリーヘ
「試作したお菓子に、姉が厳しく意見をくれるんです。」
なんでも言い合える仲良し姉妹が営むカフェギャラリー。
どこか懐かしい雰囲気も感じる、落ち着ける場所です。
あなただけのゆったりとした時間を「ときとま」で過ごしてみませんか?
(文/まつこ 写真/悠貴)
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